【朗読練習用一人台本】消費型人間

      2018/11/06

※2018/11/06追記 ボイスドラマ用、朗読用台本、ゲームシナリオ等の作成依頼を受け付けております。納期、価格等はお気軽にお問合せください。

私は消費型人間である。
世の中には2種類の人間がいて、様々なものを生み出し世の中の人のためになる人間と、私のように、ただ他者の生み出したものを消費し、食い荒らし、何も生み出す事はしない消費型人間がいる。
まぁ、それはいい。
つまるところ、私はただただ色々な物を消費するだけの人間である。という自己紹介だ。
いやいや、私は決して世間で言うところの自由業や、ニートなどと呼ばれる職業のものではない。
働いてはいる。それは当然だ。働かざる者喰うべからずどころか、この日本では働かぬものは生きていく事も難しい。
身寄りの無い私であれば尚更だ。……いや、別に私は不幸自慢をしたいわけではない。境遇に同情してほしいわけでもなければ、お金くださいとストレートに要求を伝えているわけでもない。
話を戻そう。
いかん。どうにも私は話が脱線してしまうクセがある。
幼少期の頃…… いかんいかん。これがいかんのだ。
つまり、私は別に働いていないわけではなく、いわゆる営業という仕事をしている。
大切な、仕事であることには変わりないが、何かを生み出すか? と言えば微妙であろう。
いや? もしかしたら会社にとって、お金や、縁といったものを生み出しているのかもしれないが、それは生み出したと言っていいのだろうか?
つまり、とにもかくにも私は消費型人間なのだ。

消費型人間は、とにかく物を作り出すという事をしない。
文章も書かなければ、絵などもってのほか、私に至ってはblogやtwitterですらしていない。
理由? そんなものは明白だ。
まず第一に面倒くさいという事。
何かを新しく始め、努力を続けるというのは思ったよりも労力がかかる。
私はそのようなものに価値を見いだせないし、自分自身のなかにそれをするだけの価値がある才能があるとも思えない。
だから、私はそういった活動を一切行わない。
しかし、これは自慢ではないが…… 沢山のものを消費する。
たくさん買い物をするし、人の創作物を読みあさり、ドラマを買い、映画を見る。
食事だって、出来るだけ高水準なものを食べたいと思っているし、外食も多い。
自分自身が経済活動の一端を担っているという自覚はあるし、自負もある。
だから、自分自身が無価値な人間だとは思わない。

ただ、消費しかしないという、それだけの事なのだ。

だから消費型の人間が、物を生み出す人間と比べて無価値なのかと言えばそうではないだろうと断言できる。
なぜなら、消費型の人間がいなければ、生み出す側の人間に価値が無くなってしまうからだ。
両者はそういった共生関係のようなもので成り立っている。

だから…… あぁ、いけない。
気付いてはいけない事に気付いてしまった。
申し訳ないが、ここで話を終わらせてほしい。
なぜなら、今私がしているこの行為は、何かを生み出す行為に等しいからだ。

キミの心に何かを生み出してしまうまえに、その前に話を終えたいと思う。
そう、私は消費型人間。

生み出す事は決してしない。
その信念と、自負を持って生きているのだ。

 © 2016 堂家 紳士

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