【♂2 ♀1】とある間抜けな泥棒兄妹。
2017/09/13
グレン ♂ 長兄 筋肉馬鹿
ミリル ♀ 長女 兄妹のブレイン
シャノ ♂ 弟 要領が悪く、いつも二人に怒られている
グレン「……んで? これ、どうするよ」
ミリル「どうするって言っても……」
シャノ「死んでる……の?」
グレン「いや、気絶させただけだ」
シャノ「ホッ……」
ミリル「ほっとしてる場合じゃないわ。どのみち顔は見られたのよ」
グレン「殺すしか無い……か」
シャノ「やめようよグレン兄。人殺しなんてよくないよ!」
グレン「うるせぇ。そもそもお前がドジ踏んだのが原因じゃねぇか。この時間、こいつは帰って来ないって言ったのはお前だろうが!」
シャノ「うぅ……ごめん……まさか帰ってくるなんて思わなかったんだよ! 今日は出かけて帰って来ないって……そう話してるの聞いたんだよ!」
グレン「だいたいな。お前は昔から要領が悪いんだよ! ハイスクールの時だって……」
ミリル「やめなさいよ二人とも! そんな事話してる場合じゃないでしょう? いい?」
グレン「う、うむ。そうだな。悪い……」
シャノ「ごめん。ミリ姉……」
ミリル「そもそも、殺したとして、死体はどうするつもり? 死体なんかが出たら、間違い無く警察は最近働き始めたばかりの私達を疑うわ」
グレン「下調べをしてたのが裏目に出ちまったな……」
ミリル「そんな事を今更言ってもしょうがないわ。問題は今、この状況をどうするのかって事よ」
グレン「そうだ、どっか遠くで殺して埋めちまえばいいんじゃないか? そうすれば……」
シャノ「グレン兄……ここは人と通りが多いし、誰にも見られずに死体を運び出すのは無理だよぉ……」
ミリル「仮に運良く運び出すことが出来たとしても、住み込みの使用人と主人が翌日揃って不在じゃ、疑われるのは間違い無く私達でしょうね」
グレン「じゃあどうするって言うんだ」
ミリル「それは……あっ」
グレン「ん?」
シャノ「どうしたの? ミリ姉」
ミリル「そういえば聞いた事があるわ。死体を誰にも分からないように処理する方法……」
グレン「どうするんだ?」
ミリル「……食べるのよ」
グレン「は?」
ミリル「食べるの。死体をばらして、全部食べてしまうのよ」
シャノ「死体を食べ……うぷっ、げろげろ……」
グレン「おわっ! きたねぇ!」
ミリル「肉や内臓は全て食べきって、骨は砕いてしまうの。髪の毛は残ってしまうけど……それぐらいなら隠すのはワケないわ。幸い、彼の髪はあまり多く無いし……ね」
グレン「つってもよぉ……」
シャノ「やだやだやだ! ダメダメダメ! ダメだよ! うぷっ。そんなの無理だよ無理!」
グレン「うるせぇ、静かにしやがれ!」
シャノ「死体を食べるなんて! そんなの出来るはずないよ! うぷっ、絶対に無理だよ!!」
グレン「うるせぇつってんだろ!」
SE:殴られたシャノがあたりの物を巻き込んで吹っ飛ぶ音
シャノ「きゅう……」
ミリル「ちょっと暴れないで! 誰かに聞かれでもしたらどうするの!?」
グレン「うるせぇ。だいたいミリ。お前もなぁ! 現実問題そんなこと出来るわけないだろうが。こいつ一人喰うのにどんだけ喰えばいいんだよ!」
ミリル「たしかに、彼はちょっと……っていうかかなりオデブちゃんだけど、あんたは身体でかいんだから、食べきってみせなさいよ! 男でしょ!?」
グレン「お前は喰えるのかよ!? 人間だぞこれ!?」
ミリル「じゃあどうするって言うのよ! あんた長男なんだから考えてよ!」
グレン「だから、それを今考えてんだろうが!」
ミリル「考えてないじゃない! 考える事はいっつも私に丸投げで、あんたたちは問題ばかり! 力自慢は結構ですけどね、脳みそまで筋肉で出来てるんじゃないの?」
グレン「とにかく! 今はこいつをどうするかが問題だろうが! こんなときにつっかかってくんな!」
ミリル「つっかかってきたのはあんたでしょうが! そもそも……」
SE:サイレンの音
グレン・ミリル「あっ……」
グレン「まずいぜ、サイレンの音だ!」
ミリル「あんたが暴れたりしたから! 通報されたんじゃないの!?」
グレン「んなこと言ってる場合か! ずらかるぞ! シャノ! ……シャノ!」
ミリル「さっき、あんたが殴り飛ばしたんでしょうが! 気絶してるわよ!」
シャノ「きゅう……」
グレン「ったく……手間かけさせやがって……!
グレン「っち……こいつ思ったより重ぇ……! おい、ミリルお前も手伝え!」
ミリル「しょうがないわね……いくわよ。せーのっ」
グレン「はぁ…はぁ……くっそ! なんでこんなことに……」
ミリル「今更言ったってしょうがないっ……でしょ!はぁ…はぁ…今は逃げるのが先決よ」
グレン「よし、もう少しで裏口だ。なんとか逃げ切れ――」
警察官(シャノ役が兼任)「警察だ! 手を上げろ!」
SE:ドアが強く開く音
グレン・ミリル「あっ……」