【♂1 ♀2】組長の娘は普通の生活がしたい!

   

お嬢 ♀ 15歳 とある組の組長の娘。母は幼い頃に他界しており、組のもんが家族のようなもの。
富田 ♂ 35歳 組の幹部役員。幼い頃よりお嬢の事を見守ってきており、大切な娘か妹のように思っている。
恵  ♀ 15歳 お嬢の中学校の頃の同級生。お嬢が組長の娘だと知っていながら付き合ってくれる大切な友人。

お嬢「ねぇ……富田」

富田「……へい」

お嬢「いつまでついてくる気?」

富田「今日はお嬢の入学式ですから、それまでは控えさせていただこうかと」

お嬢「……ありえない」

富田「は? ……お嬢?」

お嬢「ありえないでしょ! 学校までついてくるとか!」

富田「し、しかしお嬢……俺はオヤジに……」

お嬢「パパに頼まれたからって何!? あたしの事は!? なんにも考えてないの?」

富田「い、いえ、決してそのような事は……」

お嬢「そもそも、女子校だよ!? おかしいでしょ! 先生達に止められるわよ! どうするつもりなの!?」

富田「そいつは、こう……きゅっと……」

お嬢「きゅっとじゃないわよ! 何してくれてんのよ! あたしの学園生活をどうしたいわけ!?」

富田「決してお嬢の機嫌を損ねたいわけじゃ……」

お嬢「損ねてる! もうとっくに損ねてる! そもそも見て!? 今! この状況! あたしたちどう見られてると思う!?」

富田「……あぁ!? てめぇらなにガンくれて、あいてっ」

お嬢「そういうのをやめなさいってのよ! いい? 私は普通の学園生活を送りたいわけ! 頼むから邪魔しないでよ!」

富田「す、すいやせん。お嬢」

お嬢「はぁ……もういい。頼むから離れて歩いてよね!」

富田「へい」

※間

恵「やっほー! 秋菜じゃん。ひっさしぶり~」

お嬢「恵~! 卒業式以来だね~。一緒の学校だし、これからもよろしくね~」

恵「こちらこそ~! ……ん?」

富田「ジー」

恵「ちょっと秋菜……」

お嬢「ん?」

恵「富田さん……すんごい目立ってるんだけど……」

お嬢「げっ! ちょ、ちょっと待ってね!」

恵「う、うん」

富田「お嬢。なんの用ですかい?」

お嬢「なんの用じゃないわよ! 怖いのよ! いい? あんたは自分の姿を鏡で見たことあるわけ?」

富田「今日もばっちりキメてきやしたが」

お嬢「そういう意味じゃないっての! いい? あんたは怖いの! いーかーつーいーの! 目立つのよあんたは!」

富田「お嬢をお守りするのであれば、それぐらいで丁度良いかと」

お嬢「んなこたぁ頼んでないのよ! いい? もうぜったいに他の人に気付かれないようにしてよね」

富田「……へい」

お嬢「不満そうね」

富田「……いえ。そんな事は」

お嬢「はぁ……いい? 私はね、あんたの事が嫌いなわけじゃないのよ。今までパパやあんたが見守ってきてくれた事も知ってる。だから、いじめられる事なんて一度も無かったし、お母さんが死んじゃってからも寂しくなかった」

富田「お嬢……」

お嬢「でーもーねー! あたしは今日から新しい生活を始めるの! それも女子校! どうやったってあんたがついてこれるわけないじゃない!」

富田「はぁ……」

お嬢「だからね、富田。諦めて今日のところは帰ってちょうだい。あたしはあんたが女子校に突撃して捕まっちゃったりしたら悲しいよ?」

富田「お嬢ぅぅぅぅぅぅ! そこまで俺の事を考えてくれて……俺は嬉しいです。これからも、一生オヤジとお嬢についていきやす!」

お嬢「あはは~大げさだなぁ。分かってくれればいいよ。じゃ、そういう事で! いってきます!」

※間

お嬢「おまたせー恵。ごめんねー」

恵「ううん。それはいいけど……いいの?」

お嬢「うん?」

恵「富田さん、すっごい泣いてるけど」

お嬢「いいのいいの! 平気平気! じゃ、いこっ!」

恵「う、うん……」

※間

お嬢「恵~! 入学式体育館だってー! ってうん? どうしたの?」

恵「秋菜……あれ……」

富田「だから、俺ぁお嬢の保護者みたいなもんだつってんだろ! ここを通しやがれ! あぁん? あんちゃん。さてはお嬢の事を狙ってやがる害虫野郎だなぁ? ざけやがってぶっころし……」

お嬢「あほかっー!!」

SE:スリッパで頭をスパーンと叩く音

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