【15年前の過去作】朝焼けの空に

   

エゴサーチをしていたら、こんな作品が出てきました。

ものすごい懐かしいっていう気持ちと同時に、何を考えてこれを描いたんだろう。17歳の自分は……とも思います。

ただ、今の私には無い文章のテンポというか、スタイルだなと思います。読みやすいなぁとも思います。

 

朝焼けの空に

少年は手にもった黒い物を強く握り締める。
白く輝く空を見上げながら。
黒い煙の立ち込める中を、明日という希望を捨てずに。
少年は思う。
この空の果てに何があるかを、そして、そんなことを考える自分の事を。

空を見て、美しいと思える僕は、まだ人間なのだろうか。
殺すだけの機械ではないのか。
視界に映る者は殺す。
視界に映る物は壊す。

ただ、生き残る。
皆それしか望んでいないのに。
お互い殺しあわなければいけない。
正義なんて存在しない。
存在するはずが無い。
皆生きたいたけなのだから。

そんなみんなの希望を打ち砕く轟音、そして爆音。
絶え間なく続く悲鳴。
誰が誰なのかさえも分からない世界。
そんな世界でも空は綺麗なのだ。と、少し可笑しくなる。
本当は笑っている場合じゃないのに。
僕の時が止まってしまうのは、もうすぐかもしれないのに。

そんな事を考えることが出来る僕は、まだ余裕があるのだろうか。
それとも、壊れてしまったのだろうか。

少年は走る。
黄色い閃光が飛び交う中を、手に持った黒い物を握り締めながら。
逃げ場の無い悲しみ、そして恐怖。
少年には、死の一言が常に付きまとう。
数々の、命が消えていく中、あても無い道を少年は走りつづける。
生活を共にしてきた者達が次々と倒れていく中。
少年は走りつづける。
手に持つ黒い物の、冷たい引き金を引きながら。

僕が走った後には穴ぼこと死体しか転がっていない。
もしかしたら生きている者もいるかもしれないけど。
そんな事を確かめる余裕、ここには存在しない。
悲鳴の協奏曲を聞きながら、赤いシャワーを体中に浴び、僕は走りつづける。
何故走りつづけるかなど、僕には分からない。
ただ、遠い昔に大切だった人、その人を守るためかもしれない。
でも、あまり思い出せない。
少しおかしくなってきているのかもしれない。

走り続ける少年の元に一筋の光が差した。
たった数センチの黒い塊。
少年の中へ直接光を届ける。
ぐらりと揺らぐ少年の身体。

少年に安息の時が訪れる。

 © 2016 堂家 紳士

 - 小説