演技が上手くなりたければ注意して聴きなさい。

   

今回は、初心者なんだけど実際に声劇、ボイスドラマなどでボイスアクターをする方のための演技力向上方法をご紹介します。
例によって、私は演技をする人間でなければ、素人であり、脚本を書いて演技の方向性を指示したり、音声編集をしたりする側の人間ですので、ご自分で使えると思う部分を拾っていくようにしてください。

 

自分の声の評価は他人しか下せない

まず、重要な事は信頼のおける他人に聞いてもらう事です。と、言うのも基本的に自分というものは自分によって都合の良いように自身を騙します特に収録に時間がかかったり、難産だったものに関しては実際のクオリティ以上の出来であると誤認します。

自分はこんなに良い演技をしているのに、それなのにアップロード後は評価されない! なんで!? という場合はこのケースが多いです。無論、演技力で他人を感動させるのはそう簡単な事ではないため、通りすがりの他人が「感動しました!」とか「すごい演技!」なんてコメントを残してくれる事はそう多くありません。また逆に、「へたくそ」とか、「ひどい演技」なんてコメントもそうそう付かないと思います。ですが、文句を言うほどでもないけど別に良いとも思わない。その程度の演技力である。という自覚は持つようにしたほうが良いです。

さて、その上で前述した他人に聞いてもらうというお話ですが、自分の演技を聞いてもらう相手は自分と特別親しいわけではないが、厳しい事をしっかり言ってくれる相手である必要があります。と、言うのも知り合いに対してもなかなか本音って語る事はできませんが、匿名ではない場で自分自身の名前を相手に認識されている場合、本音を語って他人に意見を言える人間はそう多く無いのです。

遠慮や空気を読む事が美徳とされている日本人の性質の問題かもしれませんが、あまり他人に対して失礼だと分かっていながら厳しい意見を言ってくれる人は多くありません。それを行ってくれる人は本当に相手のことを考えてくれる人であるか、あなたの事が大好きで、あなたの成長を助けたいと思ってくれている人だけです。

人は誰しも好きこのんで嫌われたくなんて無いですから、あなたに対して期待していない人間はうんうん。いいじゃん。よく出来てる。としか言わないという事を理解しておきましょう。

厳しい事をしっかり言ってくれる。そのような耳で聞いてくれる相手をまず見つけ、あなたの演技をチェックしてもらうようにしましょう。

 

聞ける耳を持たなければ貴方の演技は上手くなりません

次に、声劇やスカイプでの通話などで演技をしている方にありがちな話ですが、自分の演技を正しく評価し、聞けるだけの耳を持つようにしましょう。前回の記事でも触れましたが、人間は決まったリソースをそれぞれの事柄に割いて物事を行うため、声劇などで演技をする事に90のリソースを割いている時、自分の演技を聞く耳には10のリソースしか割けないのです。

あなたの演技を聞く他人、リスナーさんや編集さん、そして製品を手にする人は、基本的にそのリソースのうち100を聴く事に傾けます。無論、アニメなどで映像がある場合そちらにもリソースは割かれますが、あなたが想像するよりも、ずっと集中してあなたの演技を聴く事になるんです。

演技をしながら聴いている自分の耳がどんなにいい加減な状態か、分かってもらえたと思います。ですから基本的に、練習でもなんでも自分の演技はきちんと録音をしましょう。そのうえで何度も聞いて、自分の演技の悪い所、良い所を聞き分けられる耳を育てていく事が大切です。

これは、サークルを運営してきたうえでの経験則ですが、きちんとそれを行っていた人とそうでない人では、同じ演技歴でもまったく演技力が違います。そして悲しい事に、自分自身の演技を聞き返さず、自分自身の悪い所と向き合わず演技を続けてきた人の多くが、自分自身の演技を過大評価し、他人の忠告を聞けないプライドの高い人間になってしまっているのです。

これから成長していかねばならない成長途中の人間がこれでは、成長を応援しようと思っている人もなにも出来ませんし、シビアな話、もしこれからあなたが起業や有名なボイスドラマサークルさんなどと仕事をする場合、そのような使いづらい人間は誰も使いません。一度目は仕事が来たとしても、メールや打ち合わせなどのやりとりを続けていくうちに、やがて仕事がまわって来なくなるでしょう。同じ実力をもった声優さんが2人いた場合、リテイクに対し素直に反省し、真摯に対応してくれる人間と、プライドが邪魔をして、求めている音源を上げてくれない人間。どちらを使いたいかは一目瞭然だと思います。

ちなみに、聞く耳を育てる上で大切な事は、自分自身の演技をしっかり聴く事と、他人の演技と比較をする事です。これは仲間のアマチュアの演技を聴けという話ではなく、アニメやドラマ、映画などプロとして活躍している人の演技をしっかりと聴き、どのような事に気をつけているのか、また自分の演技とは何が違うのかを聞き比べれば良いのです。

たしかに、プロとして出ている方でも誰の耳で聞いてもどうしようもない演技の方はいますが、そういった一部の方を覗けばその多くが、間違い無く素人として燻っている人間より演技力が高いのです。それは当然のことで、一日に多くても3~4時間程度、本業の合間に演技をしている人間と、演技を仕事として生活の糧として高めていっている人間とでは覚悟と機会がまったく違います。

一線級として活躍している人の演技には、当然それなりのノウハウが詰まっています。そういった部分を見つけ出せる耳を育てていく事が、あなたの演技力を上達させる重要なポイントとなるでしょう。

 

まとめ

今回は演技を聴く耳の大切さ、そして苦言を言ってくれる人の大切さについてまとめてお伝えしました。次回は脚本家が演出に加わっている場合、収録などで注意してほしいポイントをお伝えしようと思います。

 

ボイスドラマにおける演技や声質の話。

 

 © 2016 堂家 紳士

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