【男1女1】掛け合い練習用『ビター・アメリカン』
2018/12/30
掛け合いの練習用に書いた台本です。
明確に書かない感情を演技で表現する練習として使っていただければ幸いです。
新作投稿等は、ツイッターでも告知してます。
よろしければ、ID:crimsonclownをよろしくお願いします~。
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▼キャスト
男 別れた昔の彼女に呼び出され、復縁できるかもと喫茶店に向かった。心優しく、相手のことを第一に考える。
女 悩みがあり、昔の彼氏を呼び出した。気弱だが、意思は強い。
背景:喫茶店
男
「よっ!」
女
「よっ」
男
「久しぶりじゃん、呼び出しなんて。あ、俺、アメリカンで」
女
「んー、確かにそうかも」
男
「どうした? また彼氏にでも振られたか?」
女
「まぁ、そんなとこ……かな」
男
「にしても、振った男をわざわざ呼び出すかねー? 今日、クリスマスイブなんだけど?」
女
「ご、ごめん。もしかして……予定あった?」
//コーヒーが運ばれてくる
男
「どーも。……まぁ、無いけどな。ズズッ、はぁ……生き返る」
女「外……」
男
「ん?」
女
「雪、降ってるんだね」
男
「あぁ、結構降ってる。下手したら積もるかもな」
女
「そっか……」
男
「ああ」
女
「……」
男
「……はぁ、まったく、全然変わってねぇな。それで、何が話したいんだよ」
女
「え?」
男
「話、あるんだろ? お前、決まって昔から、何か話したいことある時は、そうやってストローを弄るんだよな」
女
「ごめんなさい……」
男
「いや、責めてるわけじゃないけどな。で、何があった?」
女
「うん、あのね…… 今付き合ってる人に、結婚しようって言われたの」
男
「……っ! へ、へぇ〜。そっか。そりゃめでたいじゃないか。それで、なんて答えたんだ?」
女
「うん、それがね…… 分からなくて。返事は、待って貰ってる」
男
「なんで? いい話じゃないか。なんか、その男に不満があるのか?」
女
「ううん、あっ君は…… あっ……えっと、彼はいい人なんだけど……」
男
「けど?」
女
「その、ね。仕事を……辞めて、家にいて欲しいって言われて」
男
「……! そいつは、お前の仕事のこと、知ってるんだよな?」
女
「うん……」
男
「それじゃ、どうして……」
女
「分からないけど、子供が出来たらどうせ辞めるんだしって、言われて……」
男
「……」
女
「それを聞いて、私分からなくなっちゃって、どう……したらいいと思う?」
男
「なんで、俺に聞くんだよ」
女
「だって、こんな事話せるの、あなただけだから……」
男
「……お前は、俺がやめろって言ったら、従うのかよ」
女
「えっ? えっと……」
男
「正直、俺は、その男のことが気にくわない。お前はいい奴だって言ってたけど、お前が必死で頑張ってやっと叶えた、保育士の夢を簡単に諦めさせようとしてるんだからな」
女
「……」
男
「けどな、今俺は、お前にもムカついている」
女
「えっ?」
男
「お前、なんでそこですぐ断らなかったんだよ。お前の保育士への憧れってそんなもんだったのか? ずっと俺が見てきた、夢のために睡眠時間削って、毎日必死で勉強してたお前はなんだったんだよ!」
女
「だって……! しょうがないじゃない…… もし、断ったら、私……嫌われちゃうかもしれないし」
男
「そんな事で、簡単に嫌う奴なら結婚なんかするな! 少なくとも、俺なら絶対に、そんな事で嫌いになったりしない!!」
女
「……っ!」
男
「俺はさ。お前の色んなとこ知ってるから。頑張り屋なとこも、普段素直なくせに、変なとこで頑固なところも、なにより……お前が、本当に保育士に憧れていたことだって俺は知ってる!」
女
「……」
//途中から鼻声
男
「亡くなったお母さんと、同じ道を歩きたいんだろ? そのために、なんども泣いて、それでも努力して必死でつかんだ夢なんだろ? 簡単に、諦めるなよ……」
女
「タケシ…… ありがとう。私なんかのために泣いてくれて」
//泣くのをごまかすようにコーヒーを飲む
男
「グスッ、ずずず…… 馬鹿野郎、別にそういうんじゃねえよ。これは、そう、コーヒーが苦すぎただけだ。すいませーん、アメリカンお代わりでー!」
女
「ふふっ、あなたも変わらないね。そういうとこ、変なところで格好つけて。でも、すごく優しくて……私、そういう所が好きだった」
男
「可奈……」
女
「ありがとう、あなたに相談して良かった」
男
「別に……俺は思ったことを言っただけだ」
女
「うん、それでも、ありがとう」
男
「……おう」
女
「……」
//合わせ
男
「あ、あのさ!」
女
「あのね」
男
「あ…… えっと、お先どうぞ」
女
「ううん、タケシのほうこそ、どうぞ」
男
「いや、可奈が……」
女
「タケシが……」
//合わせ
男
「……ぷっ、あはははは」
女
「……ぷっ、くすくすくす」
女
「これじゃ、らちがあかないね。それじゃ、私から…… 今日は、相談に乗ってくれて嬉しかった。彼と……ちゃんと話し合ってみるね」
男
「……おう。それが、いいと思うぜ。応援……してる」
女
「うん……それで、タケシは?」
男
「ん?」
女
「えっと、タケシも……話、あったんでしょ?」
//コーヒーカップを持ち上げる
男
「いや……忘れちまったよ。ずずず……にがっ」
//諦めたように笑い、相手に聞かせるためではなく呟く。
女
「ほんと……タケシも変わらないなぁ。だから私は……」
//可奈がぼんやりしていることに気づく。
男
「ん? どうした?」
女
「ううん、なんでもない。それじゃ……私、そろそろ行くね」
男
「……おう」
女
「……今日は、本当にありがとう。じゃあね、ばいばい」
男
「……っ! ……か、可奈っ!」
女
「……っ!? う、うん!」
男
「あー、なんていうかその……幸せになれよ」
女
「……うん、タケシもね。それじゃ」
//しばらくの間
男
「はぁ……何やってんだ俺は……ずずずっ……ははっ……やっぱ、にげぇなぁ……」