【♂1 ♀1】 ツンデレ兄
※約10分
【登場人物】
妹 15歳 兄が大好きな妹。暴走気味でちょっと馬鹿
兄 19歳 妹に対して素っ気ない態度をとるものの、愛情はあるらしい。家族の情か、恋愛感情が交じっているのかは不明。
【本編】
1 妹「たっだいまー!」
2 兄「おかえりー」
3 妹「もー! お兄ちゃん喜びがたりなーい! 久しぶりに妹が寮から帰ってきたんだよ! 『おかえり…… 見違えるほど美しくなったね』ぐらい言ってもいいじゃ~ん」
4 兄「お前は俺に何を期待してんだ…… そういやお前、あっちで彼氏とか出来たの?」
5 妹「え…… それって、興味ない風を装って恋人の存在を確かめてるってこと? もしかして、そういう事なのかな? キャーッ! お兄ちゃん駄目だよぉ。私たち兄弟だよー! でもでもでも、お兄ちゃんがどうしてもって言うなら私……」
6 兄「うるせぇよ。妄想もいい加減にしろ馬鹿。あんまうぜぇ事言うなら、寮へ帰れよ」
7 妹「ぶー! あれだねお兄ちゃんいけずだね。あっ! 私知ってるよ。そういうのツンデレって言うんでしょ。もーうちの兄(あに)はしょーがないなー!」
8 兄「……はんっ。お前相手にデレることは生涯ねぇけどな」
9 妹「ところでお兄ちゃんは、恋人とか出来たの? ……あ! ごめんね! 愚問だったね。こんな永久凍土みたいにつめたくて、頭カッチカチのお兄ちゃんに彼女さんができるわけないかぁ。そうかー。仕方ないなぁ…… ふふっ。妹がなぐさめてあげよー! 私の胸で泣いてもいいよ!」
10 兄「うるせぇ。絶壁。貸すほど胸ねぇだろ。それはそうと、誤解があるようだから言っておくぞ。俺のほうは彼女できた」
11 妹「えー。絶壁なんてひどい。でもでも、そういうのが好きなんでしょ知ってるよ! お兄ちゃんみたいな人をロリコンさんって言うんだよね! 私知って……え? えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇ!? なになに!? うそ!? うそだよね! え? え? どういうこと? どんな人!? って、うそだよね。もー妹を騙すなんてひどいお兄ちゃんだー! 私びっくりしちゃったよ~」
12 兄「っ…… るせーな! 耳元で叫ぶんじゃねぇよ。お前と違ってな、胸も大きくてうるさくなくて、女の子らしい彼女がいるんだつってんだよ。お前もさっさと兄離れしろよな」
13 妹「ふぐ…… うぇ…… うえぇぇぇ。ふえーん。おにーちゃんが……おに゛ぃ゛ぢゃんがとられぢゃうよぉ~。ふえーん」
14 兄「うおっ! なにお前泣いてんだよ。おーい泣き止め。うるせーし、ただでさえ不細工な顔がますますブスになっちゃうぞ。ほら……な? 泣き止めって」
15 妹「だっでおに゛い゛ぢゃんが~。うぞづぎぃぃぃぃぃぃぃ! わだじのこどおよめ゛さんにじてくれるっていったじゃぁぁぁぁぁん。うわーん」
16 兄「お前…… 何年前の話してんだよ。いいから泣き止めよ……な? ほら。良い子だから。ほ~ら。頭なでてやるから」
17 妹「ひぐっ…… ひっく…… うぅ…… ふえ…… ぢーーーーーん!」
18 兄「うおっ! きたねっ! おまっ、俺の服で鼻かむんじゃねぇ…… あーあーあー。盛大に鼻水たらしやがって。ほんとしょーがねぇ奴だなぁ…… ほら、ちーんしろちーん」
19 妹「ぢーーーーーーん!!!!」
20 兄「ほら、んーして。んー」
21 妹「んん…… んーーー! んぱー!」
22 兄「よし、綺麗になった。ったく…… お前は何歳だよ。俺たちは兄弟なんだからそんな約束無理だってわかってんだろ?」
23 妹「無理じゃないもん! お兄ちゃんは冷たいんだよ! 夢がないんだよ! この国の法律のせいで兄弟で結婚できないなら…… 兄弟で結婚できる国にいけばいいんだよ! お兄ちゃん行こうよ!」
24 兄「無理。俺日本大好きだし。俺の中に流れている侍の血がそれを許さないよね」
25 妹「ぶーぶー!」
26 兄「あぁぁぁぁぁ! うっとーしい! と・に・か・く。俺は彼女できたから! お前もさっさと彼氏でも見つけろよな!」
27 妹「ぉ……」
28 兄「お?」
29 妹「おに゛ーぢゃんのばがぁぁぁぁぁぁっぁ! おたんこなすぅぅぅぅぅ! おまえのかーちゃんでべぞぉぉぉぉぉ!」
30 兄「かーちゃんは一緒だろう…… おい、待てよ! どこ行くんだ。おーーーーーい! はぁ…… あの馬鹿野郎…… 仕方ねぇ。探しにいくとしますか」
○公園 一人ブランコに腰掛ける妹。日がゆっくり落ちていき、空はオレンジ色に染まっている
31 妹「おにーちゃんは…… ひどいんだよ……」
(間)
32 妹「昔は…… あんなに仲良しで…… 優しかったのに……」
(間)
33 妹「ふぇ…… ぐすっ。いけない! いけないんだよ! 諦めたら試合終了だって前、読んだ本で偉い人が言ってたんだよ! でも……彼女さんかぁ……」
(間)
34 妹「……っは! そのとき妹に電撃走るんだよ……! その彼女さんに別れてってお願いして、別れてもらえばいいんだよ! それでも駄目なら…… そのときは……」
35 兄「なぁに、物騒なこと言ってんだよ」
36 妹「うわぁぁぁぁぁぁ!? あぁっ!? 痛っ…… 驚いてブランコから落ちちゃったんだよ…… お、お兄ちゃん!? なんでここにいるの!?」
37 兄「なんでって…… 探したからに決まっておろーが。この馬鹿妹」
38 妹「あいたっ。ブランコから落ちてお尻が痛い妹にゲンコツするとか、鬼畜の所業ってやつなんだよ! ……え?」
39 兄「ほら…… 手出せよ。帰るぞ」
40 妹「うん…… っは! 危ない……! 危ないんだよ! 危うくお兄ちゃんの優しい笑顔に騙されちゃうところだったんだよ!」
41 兄「騙すってお前な……」
42 妹「お兄ちゃんが彼女さんと別れない限り、私は帰らないんだよ! ストライキだよ! 絶対に許してあげないんだよ!」
43 兄「あー…… あれな。……悪い。ありゃ嘘だ」
44 妹「いまさら謝っても、別れてくれなきゃ許さないんだよ…… って、うぇぇぇえええええええええええ!?」
45 兄「だから、うるせーって。ほら、いつまで呆けてんだよ。帰るぞ」
46 妹「でもでもでも、巨乳でうるさくなくて、女の子らしい彼女がいるって……」
47 兄「あれはなぁ…… お前が俺に彼女がいないのは当然みたいに語ってるのにイラッとしたから言っただけだ。実際はお前の言う通りだ…… で、でも勘違いするんじゃねぇぞ! 兄弟は結婚できねぇし。お前はさっさと兄離れするんだぞ!」
48 妹「ほへー」
49 兄「な…… なんだよ?」
50 妹「やっぱりお兄ちゃんツンデレなんだね! えへへっ!」
51 兄「うぜーよ。ばーか」