【♂3 ♀1】じゃじゃ馬の京子 1話

   

京子 ♀ 喧嘩が強い。一匹狼で、口が悪い。すぐに足が出る。ただ、見た目は気を使っている乙女心。
不良A ♂ 威勢がいい。喧嘩そこそこ。長い物には巻かれるタイプ。
不良B ♂ 絵に描いたようなチンピラ。運が悪い。作中は出てこないがシスコン。
須藤 ♂ 喧嘩最弱。頭はそこそこいい。強い女が好きで京子に惚れている。結構ナルシスト。金持ち。

 

1 不良A「おい、姉ちゃん…… 姉ちゃん。おい。無視すんなよ。てめぇだよてめぇ」

2 京子「あん? あたしか?」

3 不良A「そうだよ。てめぇだよ。へっへっへっ」

4 京子「あたし急いでんだけど?」

5 不良B「おっと! こっちは行き止まりでちゅよー。げへへへ」

6 京子「ッチ。めんどくせぇ。で、なんだよ?」

7 不良A「おめぇによぉ。なんつーか。聞きたい事があるんだわ…… っつーか、マブい身体してんじゃねぇか。俺たちとちょっと茶でも飲まない?」

8 不良B「ちょっとで終わるかは分かんねぇけどなぁ! ひゃはははは!」

9 京子「はぁ…… なんでこんなかったるい奴…… もういいから。そこどきなよ」

10 不良B「おおっと、ここは行き止まりだって言ってんじゃねぇか…… はぶっ」

11 京子「あ、わり。当たっちまった」

12 不良A「おいおいおいおい! 姉ちゃんよぉ。なにしてくれちゃってんのぉ!? そいつノビちゃってるよねぇ?」

13 京子「だから、悪かったって。別に当てるつもりじゃなかったんだよ。すまん! この通り! じゃ、そういうことで」

14 不良A「おい、てめぇ。人が下出に出てりゃぁ調子に乗ってくれやがって。馬鹿にしてんのか! 女だからって容赦しねぇぞコラぁ!」

15 京子「離せよ」

16 不良A「あん?」

17 京子「そのきたねぇ手を離せつってんだよクソ野郎!」

18 不良A「おわぁ!? っぶねぇ…… 何しやがんだ! あぶねぇじゃねぇか!」

19 京子「ッチ…… 今ので当たっておけば良かったものを……」

20 不良A「おいおいおいおい、ちょっと待てよ姉ちゃん!」

21 京子「あ゛ぁ!?」

22 不良A「めっちゃ構えてんじゃねぇか! てめぇ絶対格闘技かなんかやってんだろ!」

23 京子「それがどうしたよ!」

24 不良A「……まぁ待てよ。暴力はよそうぜ。なにも俺も乱暴をしようってんんじゃねぇんだ」

25 京子「今更何言ってやがる! ざけたこと言ってんじゃねぇぞ!」

SE:ドラム缶のようなものを蹴る音

26 不良B「いやぁ…… なんか突然意識が…… っておわっ!?」

SE:衝突音

27 京子「あっ」

28 不良A「田中ぁぁぁぁぁぁぁ! なんてひでぇ事しやがる! やっと意識を取り戻したばかりだってのに……!」

29 京子「ッチ。んな所に突っ立ってっから悪いんだろ…… んで、なんだよ」

30 不良A「あ?」

31 京子「あ? ねぇよ! 惚けたマネしてっとそこのドラム缶みたいに蹴っ飛ばしてやんぞ!?」

32 不良A「ちょ、まてまて。聞きたい事があってよぉ…… このへんに、すげぇ強くて…… ポニーテールしてて…… 緑が丘女学園の…… ってあぁぁぁぁぁぁ!? お前、まさかじゃじゃ馬の京子かぁ!?」

33 京子「その名前で呼ぶんじゃねぇよ!」

34 不良A「おわぁぁぁあ!? っぶねぇ。すぐに蹴るのやめろよな!」

35 京子「で、あたしがナンだって?」

36 不良A「あんたに会いたいって人がいるんだよ。一緒にきてくんねぇか? っておお…… 田中、起きたか」

37 不良B「私は一体何をしていたのだ。思い出せない。……やや。そこに野蛮そうな男女が。状況把握に努めたいものの、彼らに聞いて良いものか……」

38 京子「話をややこしくすんじゃねぇよ!」

39 不良A「田中ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! だからてめぇ、すぐに蹴るのやめろよ! またノビちまったじゃねぇかよ!」

40 京子「ふんっ。あたしを探してるなんざ、どうせどっかの馬鹿だろう? なんだ? お礼参りかなんかか?」

41 不良A「さぁな。おわぁぁ!? だからぁ! そういうのやめてって!」

42 京子「しらばっくれんじゃねぇよ! ケリ入れるよ!」

43 不良A「蹴る前に言えよてめぇ! ……ごほん。だから、俺たちも知らねぇんだよ。ただ、探して連れてこいって言われただけでよ」

44 京子「で、誰よ?」

45 不良A「それは会ってからのおたの…… 見切ったぁ!」

46 京子「ッチ。めんどくせぇ事言うんじゃないよ! 誰なのか言わなきゃあたしは帰るよ」

47 不良A「あぁもう…… てめぇは様式美ってもんを知らねぇのかよ! 須藤君だよ! 須藤君に連れてこいって言われたんだよ!」

48 京子「須藤……? あぁ、あいつか。このあいだ突然からんできやがったから、ぼこぼこにしてやったのに、まだこりねぇのかあいつ」

49 不良A「とにかく行くぞ、黙ってついて…… はっ! 甘いわぁ! って連撃!? がはっ!」

50 京子「なんでてめぇが仕切ってんだよ!」

51 不良A「お願いします…… ついてきてください……」
※間
52 不良A「須藤君~。例の女を連れて。あたっ! じゃじゃ馬のあいたっ! 京子さんを連れてきたっすよ~。須藤く~ん? 入るっすよ~?」

53 須藤「よく来たな! マイスイートハニー!」

54 不良A「……」

55 須藤「……どきたまえ」

56 不良A「……」

57 須藤「ごほん! 良く来たな! マイ・スウィートハニー!」

58 京子「おい、こいつ頭大丈夫か?」

59 不良A「多分大丈夫なんじゃないっすかね」

60 京子「この間ぼこぼこにしすぎたか……? ところであんたなんで敬語なの?」

61 不良A「須藤君の前だからっす」

62 京子「あそう……」

63 須藤「どうした! 私の胸に飛び込んできても良いのだぞ! じゃじゃ馬の京子! それとも接吻がいいか? ふふっ、積極的だな。んー。……っていたぁ!?」

64 京子「はっ! つい反射的に蹴っちまった」

65 須藤「ふふふ。照れ屋さんだね。そういう君も悪くないよ」

66 京子「……やっぱあたし帰るわ」

67 不良A「うぃーっす。お疲れ様~っす」

68 須藤「待ちたまえ! じゃじゃ馬の京子!」

69 京子「はぁ? わけわかんねぇし、もう帰りたいんだけど?」

70 須藤「これは君にも関係のある話だ」

71 京子「で? なによ。早く言えってめんどくせぇなぁ」

72 須藤「私には歳の離れた甥がいてな。その甥というのがなかなか不幸な境遇で、父親は借金を残して失踪。母は一人で甥を育てていたのだが…… 過労で倒れてしまい入院している。今は、私が引き取って甥と暮らしているのだが…… その、私も入院しなければいけなくなったのだ」

73 京子「へぇ…… なんか病気? ご愁傷様」

74 須藤「いや…… 全身を強く打ち付けてな…… 正直今も病院から抜け出してきたばかりで…… もう倒れそうなのだ」

75 京子「事故かぁ。あんたも運が無いねぇ。ま、良い機会だから己の人生でも考え直してみるのもいいと思うよ」

76 不良A「その全身打撲、京子さん。あんたが原因っすけどね」

77 京子「は!? 嘘だろ? いくらなんでもそこまで強くはやってねぇ……」

78 不良A「須藤さんは身体が特別弱いっす。っていうか貧弱っす。最弱っす。転んだだけで骨が折れるレベルっす」

79 京子「はぁ!? あんたらの頭だろ!?」

80 不良A「ぶっちゃけ金だけは持ってるっすからねぇ。こう見えて頭もいいし。だからついて行ってるっす」

81 須藤「そういう事なのだ…… 今にも倒れそうだから、要点だけ伝えさせてもらう。じゃじゃ馬の京子。私の甥を、私の代わってしばらくの間面倒をみてくれたまえ」

82 京子「はぁ!? いやいやいやいや。無いっしょ。なんであたしが。あんたの子分どもに任せりゃいいじゃん」

83 不良A「俺んち実家なんで」

84 須藤「いや、甥は恐がりでな…… 彼らと一緒に暮らすのはさすがに可哀想だ」

85 京子「おい、言われてんぞ」

86 不良A「自覚あるから仕方ないっす」

87 須藤「いいか…… 頼んだぞ。後のことは…… 彼に頼んである。あっ…… いかん。意識が……」

88 不良A「ちょ、須藤君!? 大丈夫っすか!? 須藤君!! ちょ、誰か救急車-! って俺たちしかいないっす!」

89 京子「ッチ。めんどくせぇ……」

90 不良A「田中! 119番って何番だっけ!? ってあぁぁぁぁぁ! 田中忘れてきたぁぁぁぁぁ! やべぇ…… どうしよう…… どうしよう……」

*間

91 不良B「私は誰だ…… ここは…… どこなんだ……」

 © 2016 堂家 紳士

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