【♂1 ♀1】闇夜に踊る亡者ども
グレン 男 32歳 脳筋の暗殺者。ターゲットの首を折る事に至上の喜びを得る。
マリー 女 25歳 見た目が完全に幼女の暗殺者。その見た目に油断した対象を毒殺するのが得意。
SE:酒場のドアを空ける音
1 グレン「……お。マリーじゃねぇか。こっちだこっち。ここ座れよ」
2 マリー「あら、グレン。久しぶりじゃない。まだ生きてたのね」
3 グレン「がっはっは。残念ながら死に損なってるぜ」
4 マリー「貴方を殺せる奴もそういないでしょうけど…… っと」
5 グレン「何を飲む? 一杯奢るぜ。つっても、ミルクは置いてねぇけどな。がはははは」
6 マリー「そうね。ブラッディ・マリーでもいただこうかしら。マスター。お願いね」
7 グレン「そういやぁ、相変わらず派手にやってるみたいじゃねぇか。こっちのほうまで噂が聞こえて来るぜ」
8 マリー「ふふっ。まぁねー」
※間
9 グレン「じゃ、今日まで死にぞこなっちまった祝いに」
10 マリー「お互いの仕事の成功に」
11 二人『乾杯』
SE:グラスのぶつかる音
12 グレン「で、この間もでかいヤマがあったって聞いたけど、どんなもんだった?」
13 マリー「ふふっ、いつも通りよ。私が歩いて近づくだけで、警戒心をゼロにして『お嬢ちゃん。どこからきたの。迷子かな? 大丈夫? もしよかったらあがっていく? 美味しいお菓子があるんだ』って……」
14 グレン「がっはっはっはっ。中身がババァだとも知らずに、可哀想なこったねぇ……」
15 マリー「ババァとは失礼ね。あなたこそ、相変わらず何も考えず力だけで暴れてるんじゃない?」
16 グレン「おうよ。力が全てだ。力がありゃぁなんでも出来るぜ。もっとも、大抵の場合は力を込める前に壊れちまうんだけどなぁ。がっはっはっは」
17 マリー「相変わらずねぇ…… そういえば聞いた?」
18 グレン「何がだ?」
19 マリー「ダリルっていたじゃない。あの暗器使いの」
20 グレン「あぁ、あの心気くせぇ奴か。こそこそ隠れて仕事しやがって、どうにもいけすかねぇ」
21 マリー「あら、貴方は彼の事嫌いだったのね。じゃあ朗報かしら。彼、死んだみたいよ?」
22 グレン「おっ! マジかよ!」
23 マリー「嬉しそうね」
24 グレン「まぁな。あいつの首を俺の手でへし折って見たかったが、まぁ、ギルドの盟約で禁止されてっからな。……で、どんな奴がやったんだ? 別にあいつの肩を持つわけじゃねぇが、そうそう簡単にドジ踏むような雑魚でもなかっただろ」
25 マリー「どうも、あいつらの身内に手を出してしまったみたいでね。猟犬たちに殺されたみたいよ。全身刻まれてぼろぞうきんみたいになって、ギルドの前に捨ててあったみたい」
26 グレン「おお、おっかねぇ。一度は猟犬の奴らも殺してみてぇけどよぉ。あいつら数多いからなぁ。流石に俺一人じゃ無理だ」
27 マリー「まぁ、明日も死に損ないたかったら彼らには手を出さないのが賢明ね…… なによ?」
28 グレン「お前…… やっぱいい首してるよなぁ」
29 マリー「あらっ、この身体に欲情するなんて、とんだペドフィリアね。認識を改めないといけないわ」
30 グレン「いや、そうじゃなくてな…… なんていうか。折ってみたくなる綺麗な首っていうかな」
31 マリー「あらありがとう。貴方も、一度は殺してみたい小憎たらしい顔をしているわよ」
32 グレン「がっはっはっはっ。この顔は生まれつきだぜ。まぁ、俺たちがギルドに所属している限りそんな機会はこねぇんだがよ」
33 マリー「そうね。盟友同士での私闘を禁ず。がルールの一つだものね」
34 グレン「そうじゃなくても、お前の毒と俺は相性が悪い。それこそ閨を共にしている時にでもやらなきゃ死ぬのは俺のほうだろうよ」
35 マリー「あら、やっぱりあなた私の身体に興味があるのかしら? 古い付き合いだし、あなたなら格安でいいわよ?」
36 グレン「やめとくぜ。俺にそっちの趣味はねぇ。抱くなら女はこう、ぼんっきゅっぼん! みたいなのじゃなきゃな」
37 マリー「あら、私を前にそんな事を言うなんて、ひどい男ね」
38 グレン「がっはっはっ。妬くな妬くな!」
39 マリー「ふぅ…… それじゃ、そろそろおいとましようかしら。お互いに生きてたらまた会いましょう。残りの食事を楽しんでね」
40 グレン「おう! "お互いに死に損なって"たらな」
※間
41 グレン「ペッ。がはは。あいつは油断も隙もねぇ。こっそり俺の飯にカプセルを仕込んでいきやがった。ほんといい女だぜ…… くびり殺してやりたいぐらいのなぁ…… マスター。俺も行くわ。ごっそさん。お代ここに置いておくぜ」
SE:酒場のドアが開く音